お墓に眠るご遺骨を別の場所に移す「墓じまい」には役所の改葬許可が必要ですが、この改葬許可を受けるには寺院などの管理者から埋蔵(収蔵)証明を受けなければなりません。
寺院では、江戸時代からの慣習で檀家と呼ばれる考え方を強くもたれている場合があります。そのため「墓じまい」イコール「離壇」となり、法的には根拠のない離壇料(冥加料・冥加金など)と呼ばれる高額なお布施を請求されることがあります。
寺院が高額なお布施を請求する理由は、経営上の問題、その他様々なのでしょが、法的に根拠のないものを請求されても簡単に「はい分かりました」とはいきません。しかし、このお布施を払わなければ寺院から証明を受けることができません。それなら、裁判起こして争えばいい!しかし、裁判で争っても弁護士費用とそれなりの期間を覚悟しなければなりません。
理不尽なことですが、万一、高額なお布施を請求されても、その場では判断せず、一度持ち帰り、ご家族やご親族と相談してください。再度、お寺さんと話し合いをする際には、何人かで伺い、事情を説明し、お布施の金額の相談をしてみて下さい。一人よりも冷静に対処できます。
それでも、話し合いがうまく行かない場合は、お墓の所在地の役所に相談してみてください。「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」のなかに、「特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」つまり、お寺の証明がなくても、市町村長が改葬を許可する可能性があるからです。しかしながら、役所の担当者が改葬に関する法令や通達を正しく認識していないこと(認識していることもあります)が多く、宗教上の問題であることを理由として門前払いされてしまうこともありますので、不安であれば、墓じまい専門の行政書士に相談することも必要になります。