散骨-条例やガイドラインに注意

散骨2

火葬されたご遺骨を海や山などに撒き、自然に還す葬送のひとつです。ご遺骨を土に埋める(土をかぶせる)ことは「埋蔵」になりますので墓地等でなければ行えません。現在、散骨に関する法律上の定めはありませんが、「葬送を目的として、個人が節度をもって実施すること」との非公式な見解のもとに行われています。ただし、自治体の条例などにより規制されている場合もありますので確認が必要です。

 

注意すべきポイント

 

ご遺骨を粉骨(パウダー化)する必要があります

 

散骨する場合は必ずご遺骨を粉骨(パウダー化)しなければなりません。理由は、ご遺骨をそのまま撒いてしまうと刑法上の「死体損壊等」を問われる可能性があるからです。

 

埋蔵・埋葬されているご遺骨を散骨する場合、お寺(墓地管理者)に事情を説明する

 

散骨は多くの寺院(住職)から理解を得ることが難しいため、お世話になった菩提寺へ感謝の意をもって説明するよう心がけて下さい。万一、トラブルになれば時間的にも精神的にも苦痛となりますのでとても重要です。

 

原則として改葬許可証は不要

 

散骨は「墓地、埋葬等に関する法律」に規定されていない行為であるため、法による手続きはありませんが、埋蔵されている遺骨を取り出して散骨する場合は、遺骨の取り出しの前に寺院・霊園に相談してください。また、自治体によって散骨について解釈が異なることがありますので、事前に確認してください。

 

ご家族や親族の理解を得ておく

 

散骨を含めお墓やご遺骨の権利を持った人を民法では「祭祀承継者」と言いい、その承継者が決めることができます。しかし、散骨をした後になってトラブルになってしまうようなことを避けるため、家族や親族には必ず相談しておくことをお勧めします。

 

参考)散骨に関する条例・指針・ガイドライン等 令和5年5月現在

 

厚生労働省の墓地・埋葬等のページに 「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」とのタイトルで令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」研究報告書が公開されています。散骨事業者向けのガイドラインですが、散骨業者を検討するにあたり、事前に目を通しておいた方が良いと思います。

 

 

静岡県熱海市
(1)熱海市内の土地(初島含む。)から10キロメートル以上離れた海域で行う こと。
(2)海水浴やマリンレジャーのお客様の多い夏期における海洋散骨は控えるこ と。
(3)焼骨をパウダー状にし、飛散させないため水溶性の袋へ入れて海面へ投下 すること。
(4)環境保全のため自然に還らないもの(金属、ビニール、プラスチック、ガ ラスその他の人工物)を撒かないこと。
(5)事業を宣伝・広報する際に「熱海沖」、「初島沖」など「熱海」を連想する 文言を使用しないこと。

 

伊東市
(1)伊東市内の陸地から6海里(約11.11q)以内の海域で散骨しない こと。
(2)環境保全のため自然に還らないもの(金属、ビニール、プラスチック、 ガラスその他の人工物)をまかないこと。
(3)宣伝・広報に関し、「伊東沖」、「伊東市の地名」など、「伊東」を連想す る文言を使用しないこと。

 

その他として、御殿場市、北海道長沼町、北海道七飯町、北海道岩見沢市、宮城県松島町、長野県諏訪市、埼玉県秩父市、埼玉県本庄市、神奈川県湯河原町、神奈川県箱根町、静岡県三島市、愛媛県愛南町、鹿児島県伊佐市、熊本県南阿蘇村で条例等が定められています。